就職活動から考える、関西と関東の学生の違い【前編】

コラム

就職活動。
それは、日本独自の雇用慣行のもとでは、「人生のベクトル」を大きく左右するという意味において、大学生や大学院生にとって最大のイベントとなっています。

そうした就活ルールが大きく変わろうとしていることは、
コラム「就活ルールが廃止になると就活のスケジュールはどう変わる?」
にて述べた通りですが、「自らの進路を自らの意思で決定」ことの難しさについては、依然として変わらりません。

本稿では、関西で生まれ育った筆者自身が就職活動を通じて感じた違和感を起点に、関西と関東の学生の違いについて前後編に渡って客観的なデータを用いながら説明していきます。

*なお本稿では、大阪府/京都府/兵庫県/滋賀県/奈良県/和歌山県の2府4県を関西とし、東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県/千葉県/群馬県/茨城県の1都6県を関東と定義します。

1. 大学と学生の数の違い

大学生にとって一番馴染み深い違いからまずは見ていきましょう。

政府が公表している「学校基本調査 / 平成29年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 学校調査 大学・大学院」によると、関西、関東の大学の数はそれぞれ、

関西・・・148 (全国の19%)
関東・・・247 (全国の32%)

となっています。また、大学生の数については、

関西・・・591,960人 (全国の20.5%)
関東・・・1,248,996人 (全国の43.2%)

となっており、関西と関東だけで全国の大学生の約65%を占めていることが分かります。関西と関東の違いにフォーカスしてみても、両者の間には2倍弱の差が存在していることが分かります。

2. 企業数および従業者数の違い

次に、関西と関東における企業数、従業者数の違いについて見ていきましょう。

中小企業庁が公表している「都道府県・大都市別企業数、常用雇用者数、従業者数 (平成30年12月14日更新)」によると、2016年6月時点において下記表のような数値となっています。

上表からも分かるように、関西と関東地域だけで日本に存在する企業の約半分が存在していることが分かります。
また、関西と関東の従業者数の違いを表しているのが以下の表です。

表から読み取れるように、従業者数においては、より関西と関東、いわゆる都市圏への集中が著しいです。この背景には、従業者数の大きい企業(いわゆる大企業)が関西および関東圏に集積していることが考えられます。

この大企業集積度については、表の通り関西と関東の間で差があることが分かります。関東は関西に比べて5倍近く多くの大企業が集積しており、それに伴って関東圏で就労する人の数も多くなっているというメカニズムです。

そのため、

関東圏の方が相対的に働き口が多い
→関東圏への大学進学希望者が増える
→関東圏にて大学設置、新設学部開講が進む
→若者が集まる
→労働者確保のため、企業の集積が進む

という連鎖が生じることになります。

一方で、関西にも世界を代表する企業の本社があるのは事実です。
歴史的や地理的な背景からも、半導体企業やアジア圏との結びつきが強い企業も集中しています。

さらに、ここ数年では大阪梅田の「うめきた」開発に伴って、産官学一体となった起業支援が整備され(実際、平成28年の関西の開業率は関東の開業率を上回っているとも言われている)、関西圏の人口、企業集積が進むことは十分に考えられます。

2025年の万博誘致が決定したことも、この傾向の一助になる可能性が高いです。

3. 学生の意識の違い

「2019年卒 マイナビ大学生就職意識調査」によると、関西と関東の学生における【就職観の違い】と【企業志向の違い】は以下のようになっています。


両地域をみる限り、全体的な傾向は非常に似通っています。その中で読み取れる違いとしては、「プライドの持てる仕事をしたい」の割合が、関東の方が関西よりも微妙に高くなっています。背景には、良くも悪くもある意味他者との関わりが多い中で、「他者からの見え方」が意思決定の軸になっている人が相対的に多いのかもしれません。

企業志向の違いについても、関西、関東の間で大きな違いがないことが分かります。両地域ともに、「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手が良い」、「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でも良い」と考える学生が多く、「やりたいこと」起点で会社を選ぶ学生が多いと考えられます。
この点については、次に示すグラフで詳しく述べます。

一方で違いに着目すれば、関西の方が「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でも良い」と考えている学生が若干関東よりも多いこと、逆に、関東の方が「絶対に大手企業が良い」と考える学生が関西よりも多いことが挙げられます。前者については、後者に関しては、先述の「他者からの見え方」に関する影響があるかもしれませんが、他のどこの地域よりも「企業接点」が多く、他の地域の学生よりも企業の深部を理解した上で意思決定をできている可能性も考えられます。

次に、学生が考える企業選択のポイントについて見てみます

こちらについても、関西と関東の間に大きな差は見受けられませんが、両地域ともに「自分のやりたい仕事ができる会社」が意思決定の大きな軸になっていることが分かります。

起業がより身近になり、転職することも従来よりも簡単になった昨今、「自分のやりたいこと」、「自分のありたい姿」の重要性が高まっていると言っても過言ではありません。出入力管理法の改正で、日本で働く外国人の数が急速に増える可能性がある中、皆さんはどのようにして自らのキャリアを築き、「あなたらしい」人生を歩んでいきますか?

そして、あなたが大学生である場合、「今できること」とは一体なんでしょうか。

まとめ

  • 関西と関東の学生の間に、細かい意識の違いはあるものの、大きな違いはない。
  • 関西関東ともに、「やりたいこと」で会社を選ぶ学生が多い
  • 企業の数が多い関東圏の学生の方が、企業やそこで働く社会人と接触する頻度が高い。
  • その接触頻度が、意思決定の深さに影響を与えている可能性が高い。

後半では、

  • 具体的に関東と関西の学生がミクロ部分で、それぞれどのような学生生活を送っているのか
  • あなたが今すべきこと

について述べていきます。

就活ルールが廃止になると就活のスケジュールはどう変わる?

2019.01.15